富士の樹海は不自由かい?

6/7

28人が本棚に入れています
本棚に追加
/151ページ
ありえない強敵に次々襲われ俺の戦いはこれからだ -完- 応援ありがとうございました次回作にご期待ください!(嘘) ――――――――――――――――――――――――――――――――  ボコオッ、と土のなかからそいつの上半身が現れた。 「うわああああっ!」  土まみれのぼさぼさの髪と一部骨の見えてる腐った顔、ぼろ切れのような服。 【ゾンビ/レベル:十六】 ちょっと待てちょっと待てちょっと待てっ。このタイミングで出てくるか? ドラゴンこっち来てんだよっ。てかこいつも無駄にレベル高えな。ゴブリンの倍って。  俺はげしげしとゾンビの腕を蹴ったが、奴は全然、手を離さない。結構な腐敗臭なのに頑丈すぎだろ。死人の握力じゃねえぞ。いででででっ。そこ犬に噛まれたとこだってばっ。  って、やべっ。ゾンビが足に噛みつこうとした。俺は考えるより先に、思いきり蹴り顔面を飛ばした。奴が大きくのけぞった。手が離れる。その隙に俺は急いでゾンビとまあいをとった。  あっぶねー。噛まれてたら絶対、ウイルス的なやつに感染してゾンビ化してたぞ。  そいつは冬眠から覚めたカエルのように、のろのろと土から出てくる。不幸中の幸いというか、あいつも移動速度の低いモンスターのようだ。逃げるのはわけな――  ボゴッ。ボゴッ。ボゴッ。  土を掘り起こす音がそこらじゅうで聞こえた。……えーと、嘘、だよな?  前後左右、全方向で土のなかから這い出てくる死者たち。一体二体の騒ぎじゃなかった。雨後の竹の子ライクに次々と湧いて出くる。  あっという間に、俺を取り囲むものが、森の木々に加えて、何十体としれないゾンビも仲間入りした。  おいおい、ここ墓地じゃねえぞ。なんで森でこんなに死体が埋まってんだよ。  てか、くっさ。死臭がハンパないんですけど。ゲームにこういうリアルさ求めてないから。  全方位からよたよたと寄ってくるゾンビの群れ。遠くには緑の巨体を揺らすドラゴン。孤立無援。うん、今度こそ詰んだ。-完-  悪い夢ならもうここで覚めてくれ。夢オチ大いに結構、ウェルカム。  俺は覚悟を決めて目を閉じた。
/151ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加