初めての街、エリース

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書店でもショック、初級書物を所望するも小問題のしょうもなさに消耗のモーション、将来、諸王に招来されて召雷の詠唱職をしょおうとクリエイションの ――――――――――――――――――――――――――――――――  どの店もそうだがここもなかは薄暗い。ランプは置いてあるものの、この街で日中に使ってるとこなんてどこにもないようだ。油代が高いんだろうか。現代社会の感覚からすると違和感が半端ない。価値観の違いを実感する。  適当に手にとった本の題名を見て俺はしょっぱい顔をする。 『マンガでわかるシリーズ 一週間で唱えるラクチン最強魔法 ~戦士の人も(たぶん)使えるョ~』  いろいろツッコみたくなるタイトルだが、俺はあえてスルーしてページをめくった。 「マンガでわかる」とうたいながら、実際には漫画は最初の一ページだけだった。おまけに作画は崩壊してるわ、絵やセリフのセンスが死ぬほど古いわ。チョベリグってなんだよ。あまりの寒さに読んでるこっちが恥ずかしくなる。  それはともかく、魔法を覚える方法はいくつかあるようで、本から修得するのもそのひとつらしい。魔法はそれぞれ使用可能になるレベルが決まっているそうだ。知力、精神力、魔力の上昇によって、すばやく発動できるようになる。一方、詠唱時間を長くすることによって効力を大きく高めることも可能。ただしMPの消費量は増える。ああ、だからあのなんだっけ、ハゲの奴はぐだぐだ長ったらしく唱えてたのか。  現実世界の感覚で読みふけっていると、店のババアに「お客さん、立ち読みは困るよ」とハタキで頭をばさばさやられた。だから昭和のアニメかっつーの。  買っておこうかと思ったが、八千イェンもしたのでやめた。防具は一式そろえても一万ちょいだってのに。「マンガでわかる」というタイトル詐欺プラスこの画力でよくそんな強気の価格設定にできたな。この世界の物価、どうなってんだ。  物価といえばほかにもひどいのを見かけた。価格というかほかにもいろいろおかしかったんだが。
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