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【朗報】ついに異世界でのチート方法の手がかり見つかる
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木造の社は神社以外のなにものでもないたたずまいだった。
ご丁寧に賽銭箱まで設置してある。敷地内だけはいかにも神社といった凛とした空気に包まれて――いるんだが、左右両隣がヨーロッパふうの石造りに挟まれててぶち壊しだ。
おっさんの「さあ、今日はレッピーがお買い得だよ。定価二万イェンがなんとたったの二千イェンだ」との威勢のいいかけ声でよけいに。魚屋かよ。名物の販売で「今日はお買い得」っておかしいだろ。ていうか明らかに二万なんかで売ったことないよな。販売の実態がない定価って違法じゃないのか。異世界だからおとがめなしってか。自由かよ、ここ。さすがエセ界。
おっさんにツッコミ入れてるときりがない。まだ「レッピーの名前の由来はレッドハッピーで――」とか言ってるが、気にせず百イェン銅貨を投げ入れる。てかやっぱ○福じゃねえか、もういいわ、どんだけこのネタ引っぱるんだよ。
俺は5chと数々のまとめサイトでつちかったスルースキルを発揮し、手をぱんぱん叩いてあわせる。神様、どうか童貞を卒業できますように、っと。
願いごとを済ませたあと、賽銭で運が上昇したりして、と冗談半分にステータスを確認した。
【運:二】
ってマジか。本当に上がってるし。
みごとに一で埋めつくされたパラメーター(魔法も使えないのに無駄にMPが一ある)のなかでひときわ輝く二。これほど二をまぶしく感じたのは、保健体育で初めて一以外の成績を取って以来だ。って、どんだけバカでスケベなんだよ俺。
試しにもう百イェン入れてみる。
【運:三】
おおっ、また上がった。やっぱり賽銭で上昇するんだ。
今度は二百イェンを投入。
【運:五】
おー、金額に応じて増えてる。
百イェン=一ポイントか。なるほど、強さは金で買えると。ようやく異世界らしくなってきたじゃないか、エセ界。いや、異世界に格上げだな。
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