異世界の街は伊勢かい?

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【俺TUEEEEEEwwwwwwww】覚醒きたか!?【最強勇者賢者ですけどなにかwwww?】 ――――――――――――――――――――――――――――――――  運の上限値は何ポイントなんだろ。一般的に最低でも九十九はあるはず。てことは一万イェン弱必要か。今の手持ちが六万弱だから安くはないな。でも、運をドーピングすればオールマイティーに効力を得られるはず。  たとえば、ありえないご都合主義、    「遅刻遅刻~っ」とトーストくわえた女の子と曲がり角でぶつかり、教室での転校生紹介で再会してお互いに「あ~~っ!」と声をあげて、文化祭やらなんやかんやのイベントを消化して恋が芽生えて、桜の舞い散るなか伝説の樹の下で告白、ふたりは幸せなキスをして -完-     とのベッタベタな展開もありえる。すぐにもとをとれるに違いない。二秒で購入決定。  レジ、一万イェン入りまーす、と惜しげもなく金貨を投じてステータスをチェック。  さあ、めくるめくラッキースケベの毎日を堪能しつつ最強にのし上がる伝説を築く俺TUEEEE【運:一】ええええっ!?  なんでだよっ!  おかしいだろ、上がらないどころか下がってるって、ゆーかもとに戻ってんじゃねえか、どうなってんだ、おい神様、説明しろ!  頭上にぶら下がるあのがらがら鳴らすやつを振りまくって抗議したが、異世界の神様は聞いているのかいないのか、そもそも存在しないのか、なんの返事もなかった。エセ界から異世界への昇格は取り消しだ。ゴミ界、いや、クソ界だクソ界。  せめて金返せよ、と賽銭箱に手を突っ込もうとしたが、もちろん隙間が狭くて入らない。  横からあけられないか調べようとしたら、赤○売りのおっさんが鳥居の向こうから「おーい、賽銭ドロしてっと衛兵呼ぶぞー」と言った。レッピーこと○福をむしゃむしゃ食いながら。それ、一個二千イェンのはずだろ、なに気軽につまみ食いしてんだよ。原価安いのか。  くそ、一万イェンも――正確には一万四百イェン損してしまった。  伊勢神宮もどきのアイスジンジャー(なんか飲みものの名前みたいだな)を出たあとも、無駄金をつかったことへのむかむかが治まらなかった。  乾いた土を踏みつけるような足どりで、当てどなく異世界人の間をぬっていると、ふと、親父の口ぐせを思い出す。 『死んだ子の歳を数えるな』  パチンコや株で負けても気にしない、という意味らしい。  まあ親父の場合、基本、負けてばかりなんだが。むしろ少しは気にしろ。ていうかまじめに働け、ギャンブル狂。  心のなかで不平をたれていると、なにか自分の言葉に引っかかるものを感じた。  あれ、今、俺――
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