異世界の街は伊勢かい?

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夢だけど! 夢じゃなかった! 真っ◯ ◯◯◯け 出ておいで! ――――――――――――――――――――――――――――――――  風呂場から漂う異様な臭いに気づいた俺は、脱衣所のドアをあけた。目にしみるほどの刺激臭があふれかえっている。  浴室の戸をひらく。途端、行き場を失って出口を求めていた魔物が飛び出してきたかのように、俺は見えないなにかに圧倒された。意識が遠のき足がふらつく。  とっさに袖で口と鼻を覆った。その霞む頭で俺は見た。空の浴槽でぐったりとしているお袋を。  ――中毒症状だ。  *  俺はひとつ重要なことに気づいた。  夢のなかで夢だとわかるのって明晰夢ってやつだろ。たしかなんでも思いどおりの夢が見られるはず。  ということは、アニメの女の子に囲まれるハーレムも文字どおり夢じゃないと。あのキャラもそのキャラもみんな俺の嫁……。くくく、ついにこの俺にも運がめぐってきたようだな。  脳内に蓄積された膨大なアニメデータベースに高速でアクセスし、歴代ベストヒロインをありったけリストアップする。  あの子もこの子もいやいやその子も捨てがたい、ええい、まどろっこしい、全員だ、全員っ。  俺は左手の指先を額に添え、右腕はななめ後ろへ高々とかかげたポーズをとる。  通行人や店先のおっさんおばさんが不審な目を向けているが、なに、気にすることはない。どうせそいつらは夢に出てきてる連中なんだ。  貴様らは、百人単位で召喚される(なぜかエロコスを身にまとっている)アニメヒロインに驚愕するがいい。この奇跡の業に俺はこう名づけよう―― 「その名も召喚魔法『夢だけど!夢じゃなかった!真っ白透け透け出ておいで!』っ。さあ、モニターと現実の狭間を超えて現れよ、俺の嫁たちっ! イッツ・ショータァーイムッ!!」  後方から正面にバッと右手を伸ばし、脳内の魔法陣に向かって高らかに声をはる。  周囲の注目の度あいは、そこの首くくりオヤジの下品な口上の比ではなく、なにごとかと群衆が形成されつつあった。  異世界の中心で愛や亜衣や藍やAIたちの名前を叫ぶ俺の目の前に、大量の女の子たちが大挙して湧き出し、非日常の市場をよりカオスに染めあげ―― 《現在、次の酒場のシーンまでの追加ストーリーを更新中です。うちの猫も「楽しみだにゃー」と言ってくれているので、皆さんもぜひ見にきてくださいねー》
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