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トーキョー村出身の青年、吠える「欧米か!」
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しばらく客を観察していると晩飯が運ばれてきた。熱々の肉が香ばしい匂いを湯気に乗せ、野菜がどっさり盛られたスープとともに食欲をけしかける。
胃袋にせかされて手をつけようとすると、ウエイトレスのお姉さんがまた横に立っていた。まさか食い終わるまでそばにいないよな。どんな高級レストランだよ。
俺が固まっているとお姉さんは言った。「お代を」
ああ、そういう支払い方法なんだ。俺はあわてて布袋から銅貨を取り出し手渡す。
さて、飯だ。肉にフォークをぶっ刺そうとした。が、手はそのまま宙で止まる。
……えーと。お姉さんがまだ隣にいるんだが。
あの、なにか、と聞くとお姉さんはなぜか出身地を尋ねてきた。いきなり逆ナン?
俺はちょっとどきどきして、東京ってとこですけど、と答えた。
「そのトーキョーって村にはないんでしょうけど、街ではね、チップっていうものを渡すのが礼儀、常識なの。わかるかしら、ぴかぴか装備の新人くん」
いろんな感情が混ざって俺は顔から火を吹きそうだった。耳まで真っ赤だ。
早く行ってもらおうと、適当に銀貨をつかんで渡した。
「えっ、千イェンも? 気前いいね。じゃあいいこと教えてあげる。あそこの隅のカウンターでクエストを受注できるわ。ここのはほかの酒場より実入りが多いわよ」
お姉さんは軽い足どりで戻っていった。しまった、渡しすぎだったのか、くそっ。
妙に日本的な一面が多いのに、なんでこんなとこだけ欧米的習慣が。てか、うちの近所は村じゃねえわ。
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