異世界酒場で馬鹿さ活かせい

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ソーラー=空と日の二文字 バースデー=誕生日を逆さから読むと日生(ひなせ)に ―――――――――――――――――――――――――――――――― 【フォレストドラゴンの討伐/ランク:六/報酬:四百八十万イェン】  これ、森で襲われたあの緑のやつじゃないか。パンツお姉さんと愉快な仲間たちが倒したやつ。  さすがに破格だな。車一台買えるんじゃないのか、これ。 「クエストを受注するには登録が必要よ」熱心に眺めていた俺に、受付のお姉さんが声をかけた。「君でしょ、キョートとかいう田舎から出てきたばかりの子って」  そうどす、おこしやしたどすえ、ってやかましいわ。こちとらちゃきちゃきの江戸っ子なんだよ。べらんめえ口調とか使えないけど。  対面でお姉さんが受付をしてくれた。レベルや名前を口頭で聞き取っていく。やはりステータスは見えないらしい。  名前はちょっとかっこつけて、本名の「日生 空」をもとにしたミドルネームをつけてみた。 【アルタイル・ソーラー・バースデー】  お姉さんは意外そうに、あなた、サーネームがあるの、と目を丸くした。よくわからなかったが、また恥をかきたくなかったので、まあね、としたり顔をしてみせる。  人は見かけによらないものね、とお姉さんは首をかしげた。 「あの、俺、フォレストドラゴンを倒したんだけど」  俺は偽りの申告をした。あの完璧超人たちは街のなかには立ち寄らなかった。つまり報酬は受け取っていない。これは絶好のハイエナチャンス。――のはずだったんだが。 「ふふっ」お姉さんは、かわいそうな子を見るような目で吹き出した。「そのレベルと装備でひとりだけで?」 「ま、まあ……」倒したのは俺じゃないけどドラゴンが討伐されたのは事実だし……。 「あのね、討伐クエストの報酬を受けるには、牙、角、耳といった証拠品を持ち帰らないといけないの。持ってるの?」  またしても俺の顔が赤く染まる。そんなルールがあるなんて全然知らなかった。  冷静に考えりゃ当然か。口先だけで「倒した」つって五百万近くぽんともらえるほうがおかしい。くそ、また大恥かいた。  証拠品があればもらえるっていっても、あのドラゴンのところまで取りにいくなんて不可能だ。せっかくのノリ◯ケチャンスが。
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