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富士の樹海は不自由かい?
くだらない自分語りを少ししよう。
俺の家はどうしようもない、ど底辺だった。築何十年かわからない小汚い団地の都営住宅に住み、生活保護を糧にほそぼそと暮らしていた。
俺は無職なのだが、俺だけでなく家族全員、働ける年齢にも関わらず、潔いほど誰ひとり職についていない。四人家族でひとりもだ。うえにほぼ引きこもりとくる。全員がだ。ちょっとありえない。
その残念な面々はおいおい紹介していく。
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某最後の幻想では最弱モンスターの代表格、楽勝でしょ(フラグ)
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一、二、三、四――
いつの間に近づいていたのか、四匹のなにかが集まってきていた。
そいつらは人型で、小学生ぐらいの身長だった。だが人でないのは明白だ。とがった耳と鼻、凶暴そうな濁った目、緑がかった浅黒い肌。いずれも人間のそれじゃない。奴らのステータスを見た。
【ゴブリン/レベル:八】
ヤバい――――ヤバいヤバいヤバい。こんなの一匹だって、あのおっさんたち三人がかりでも無理だ。俺なんか秒殺だ。
社会の窓からこんにちはしている我が子をしまうのも忘れて一歩あとじさり、足を止めた。――崖だろ、後ろ。
「は、話しあおう。俺は空、二十歳。無職童貞ニートで趣味はロ――って、おいいいい!?」
コミュ障の俺が頑張って自己紹介しているのを文字どおりぶった斬るように、一匹が剣を振りかぶり突撃してきた。
俺は反射的に横へ跳び、すんでのところで交わす。空を斬る風圧が顔をなでた。ぎらりと剣が鈍く光る。全身が粟だった。一瞬遅かったら死んでた。ち○こまる出しで。
白濁した目が俺を捉える。
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