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ゴブリン(が)スレイヤーズ / リョナ=淫闇
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「わああああああああっ!」
俺は一目散に逃げ出した。
木と木の間をでたらめに駆け抜けた。崖から離れ、辺りは薄暗くなる。視界が悪くなれば奴らをまけるか。ノーという返事のようになにかが頭をかすめた。カッ、と前方の木にそれは刺さった。矢だ。おい待てよ、あいつら弓も使えるのかよっ。てか今の少しずれてたらヘッドショット食らってたぞ。背筋に寒いものが走る。
ゴブリンどもはどこまでも執拗に追ってきた。捕まればなぶり殺しだ。なんかそういうアニメを見たことがある。女はぐへへされるBPO案件クラスのやつだ。さっきのカッパたち級の壮絶な最期を遂げるバッドエンドルート余裕の。
もしかしたら、さっきから走るたびにぶらんぶらんゆれているこいつに、なにか思うところがあるかもしれない。奴らにそっちの趣味があったりしたら。……絶対捕まるわけにはいかない。
俺は必死に走り続けた。木の根、石ころ、湿った落ち葉に、何度も足をとられそうになった。転倒するのが先か、息があがるのが先か。時間の問題だ。くそっ、なにかないのか。
――なにか?
俺は思い当たって所持品を確認してみた。
って、ほとんどなにもねえなっ。勇者なら「それを捨てるなんてとんでもない!」って警告が出るような、伝説のアイテムのひとつぐらい持っとけよ。
これはだめそう、こいつも使えそうには、これも――
いや、これは。
どっ。
体が宙を舞い、ひんやりとした土の上にすっ転んだ。アイテムの確認に気をとられて木の根っこにけつまずいてしまった。
背後にゴブリンの複数の足音が迫る。
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