犬厳、モブ厳、俺厳

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うわっ…俺の○○低すぎ…?適正ステータスは?今すぐチェック! ―――――――――――――――――――――――――――――――― 「いけません、勇者様にもしものことがあっては」  八戒が制する。  もしもだと? 犬っころ相手に悪戦苦闘しているレベル三のメタボがなにを言ってるのやら。一介の戦士や魔道士と違って、こちとら特殊クラス、勇者の看板背負ってんだよ。レベルだってな――あれ、そういえばいくつだ? 俺は自分のステータスをチェックしてみる。 【レベル:一】  低っ。ひっく。  なにこれ、一て。だっさ。一って。俺、ザコすぎだろ。  こいつらのレベル三からすごい先輩感がしてきた。やべ、めっちゃ見下してた。イキってたら全然先輩だった。 「勇者様、いかがなさいました。お加減がすぐれぬようですが」  カッパが俺を気づかう。いや年上だし先輩だし呼び捨てはないか。カッパさんて呼ぼう。 「あのさ、なんで俺みたいな弱い奴を連れているの?」あ、敬語を使えばよかったかな。 「勇者様は、魔王から世界を守る救世主となるおかたです。あなたは今にお強くなられる」  距離を詰めてくる犬の群れに対峙してカッパは――カッパさんは、背中を向けて語った。それがこの人との最後の会話だった。  犬が一斉に向かってきた。ペットショップなんて比較にならないほど騒々しくて、凶暴な鳴き声、歯茎までむき出しにした白い牙、血に飢えた獣の目、近隣の犬すべてが集結しているがごとき圧倒的な数。足が震えて、岩壁に背中を預けないと立っていられなかった。  悟空たちは奮闘するが数が違いすぎた。カッパまで杖を振り回している。おまえは魔法使えよっ。カッパのMPを見た。わずか二。さっきの火のやつで使い果たしたのかよ。燃費悪すぎだろ。  いってるそばからカッパが最初の犠牲者になった。
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