なんやかんやで異世界にきた

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なんやかんやで異世界にきた

 体中が熱い。転移の影響か?  俺はまだ熱がこもる体に少し意識を向けた。だが、その熱さもやがて治まっていくのを感じ、ゆっくりと地面につけていた左こぶしと右ひざをあげた。  静かな風が吹き、俺の短い髪が揺れる中、辺りを見渡す。 「あっ、あわわわ……」  とまあ、何人か腰抜かしている奴がいた。  最初は突然華麗に登場した俺にビビっているのかと思ったが、よく見ればそれは違うというのがわかった。  腰を抜かす人たちの前にいるのは、一頭の生き物。ぱっと見たところ、チンパンジーに近いシルエットだったが、非常に薄い毛並みから見える緑の肌はどうもそれではないことを物語っている。  なんというか、ファンタジーで言うところのゴブリンみたいなやつだ。 「って、ここか異世界なら、ゴブリンそのものか」  これはグッドタイミングだ。  さっそく貰ったというチート能力の実験体にでもしてやろう。まあ、たぶんあいつは殴ってもいいやつだ、うん。知らんけど。 「おい、そこのちんちくりん。俺が相手をしてやろう。言葉が通じるかは分からないが、そこの人たちに手出しはさせんぞ!」  ついでに調子に乗って格好をつけておいた。     
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