なんやかんやで異世界にきた

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 俺の思惑を超え、2メートル以上ジャンプしていたのでゴブリンよりも更に上へ飛んでしまった。その勢いに任せたままかかと落としのような要領で攻撃を試みる。  だが、それすらもゴブリンは避けつつ、少し離れた地面に着地していた。 「本物のゴブリンは随分とすばしっこいんだな。ってか、さっき空中で方向転換してなかったか? もうちょっとあっさり倒せると思ったんだけどな」  だが、元の世界にいた俺よりは、格段に身体能力が上がっているのは事実だった。  対するゴブリンは随分と敵意をむき出しにしてくれたようで、口からはみ出た二本の牙をぎらりを見せてきている。 「……埓があかなそうだ。もう少し、意識してスピードを上げてみようか」  俺は今度、右足をぐっと曲げた。バネを意識するような感覚で、一気に地面を踏み込む。意識して踏み込んだ結果、スピードはさらにまし、今度はゴブリンによけられるより先に、その右肩を左手で掴むことに成功した。 「ギィッ!?」  始めてゴブリンの口から鳴き声が漏れる。だが、そこに気を取られることなく、今の俺にできる渾身の右手拳をゴブリンに叩き込んだ。  その入れたこぶしを抜き、奴の右肩も放したあと、今度は膝蹴りをゴブリンの顎にあたる部分に食らわせる。     
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