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「お地蔵さま」
戸が鳴る。風が強くなってきた。
「お地蔵さま」
指先がぴりぴりと痺れてきた。
戸に手のひらをあてて、ぐっと押す。足を踏み出すと、ぎゅうと雪が鳴いた。
片栗粉のようなこの音が、僕はすこし苦手だ。
頭上では大きな雲が見て分かるほどの速さで流れている。ここは寒くて風が強い。その代わり人々は暖かく暮らす術を多く身につけている。
僕もはやくどこか暖かなところへ行こう。夜は味噌拉麺でも食べるとしようか。
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