9人が本棚に入れています
本棚に追加
第二話 隣人
ある日学校から帰ってくると、マンションの前に引っ越しのトラックが止まっていた。
「ん、誰か引っ越すのかな?」
しかしトラックに積み込んでいる様子はなく、反対にトラックから出している。
ってことは、誰かが引っ越してきたということ。
このマンションは事務所所有だから、誰かが移籍してきたということか。
羽衣は気にすることなくマンションの中へ入っていった。
……あれ?
もしかして、私の隣に引っ越してきた?
自分の部屋がある階に着くと、自分の部屋の隣がバタバタしている。
羽衣は少し驚いたが、特に気にすることなく歩いた。
「あっ!!」
どこからか透明感のある声が聞こえた。
「隣に引っ越してきた、小関 樹生です。堀 羽衣さんですよね?よろしくお願いします。」
羽衣はその隣人を見て、驚いた。
背、高いな……。顔ちっさい……。いい声だな……。超イケメンじゃん……。
そして最後に、どうして私の名前を知っているんだろうと思った。
「あ、堀 羽衣です。よろしくお願いします。」
「ちょっと2、3日うるさいかもしれませんが、許してくださいね。」
「あ、はい。えっと……どちらから移籍してきたんですか?」
「え、あぁ。移籍してきたわけではないんです。所属していた喜多川声優事務所がこちらの『Stella Gloria』に合併されて、声優部門が作られることになったんです。」
羽衣は、そんな話あったような……、と考えていた。
最初のコメントを投稿しよう!