第一話 落ちた姫

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第一話 落ちた姫

2021年、東京ーーー 去年オリンピックも終わり、東京はオリンピックのことを忘れたかのように動いていた。 東京にある大きなビジョンには、長年大人気の国民的歌番組が流れていた。 その番組のコーナーの一つ、『あの頃のヒットソング』がちょうど流れていた。 「今日は、2016年のヒットソングをまとめてみました。VTRどうぞ!!」 その言葉でぴたりと足を止めた女性が一人、ビジョンを振り返った。 「2016年、か……。」 『2016年のヒット曲、まず初めはこちら! 弱冠15歳でデビュー曲がオリコン初登場2位という鮮烈デビューを果たした、堀 羽衣の“今の先”。パワフルで伸びのある歌声とストレートな歌詞が多くの人の胸をうった名曲。』 立ち止まった女性の前にいた二人の男性。 「あぁ、堀 羽衣!懐かしいなぁ。俺、一時期ファンだったんだよな…。」 「確かにこんなかわいい顔からあんなパワフルな声が出るとか、ギャップ萌えだよな。でも堀 羽衣って今何してんの?」 「さぁ・・・?」 その会話を聞いた女性は、立ち去りながら独り言を言った 「お前らの後ろにいたよ、私は。」
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