(三)

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どんよりとした曇り空。今朝は、何だか気ずつない。 何をするでもなく、取りあえず外に出ることにした。 いわゆる、散歩ってやつをしてみることにした。 生まれて初めてと言っても、いいと思う。 仕事仕事に追われてる親父とはもちろん、お袋とも散歩なんて覚えがない。 もっとも、買い物のお供はしょっちゅうだけど。 小学生までは良かったよな。 お菓子目的で、たゞたゞついて行けばよかったんだから。 中学からだよ、中学。イヤだったよな、もう。 荷物持ち専門だったし、女子に出会おうものなら、翌日の学校で‥‥。 黒板に大きく書かれた。 他の奴が書かれた時なんかは結構冷やかしたり囃し立てたりしたけれど、自分がやられた時は腹が立つもんだ。 それ以来、冷やかすことは一切止めた。 「散歩ったって、どこ行けばいいんだ?」 そうなんだよな、どこに行こう? 学校に行くときは左に行くから、取りあえず、右に行ってみるか。 100m、いや200mかな? 歩いたら少し大きな通りに出た。 道に白線が引いてある。 車道と歩道がべっこになってるんだ。 さすがに車がよく通る、当たり前か。 おっと、貸本屋がある。ちょっと、寄ってみるか。
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