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エッフェル塔の下のため息を
気まぐれな風はパリの町へ運んだ
コートの衿を立てて急ぎ歩く旅人を
冷たい風は囃し立てた
今 風は眠っている
朝 風はまた吹くだろう
流れるシャンソンのメロディーは
浮かれた風をグラン=プールへ連れてきた
胸を病む画家達の間を
浮かれた風が囃し立てた
セーヌの川に置き忘れられた郷愁さえ
風は吹き飛ばしていた
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「まーた、訳の分かんないもの書いてるう!
もう少し分かりやすく書けないの。
風が眠るわけないでしょ、止んだって書きなさいよ。
囃し立てるって、ナニよ。吹き荒れたって、こと?
疲れるのよね、いっつも」
「お前みたいな、がさつな女には分かんねえよ。
いいじゃねえか『素敵な詩ですね。大好きです、わたし』って言ってくれる女の子が、そこら中に居るんだから」
「それは、良ござんした。
ところでさあ、明日、部活動、休みになったの。で、ね。仕方がないから、一日相手してあげる。えっ! kazukoさんとデート? あたしが相手できるのって、珍しいんだよ」
「そうは言ってもな、今日の明日じゃな。kazuko、怒るし。もうちょっと、だしな。なにがって、なんでも良いだろうが。だから、また今度ナ。話なら、いつでも聞いてやっから」
まずったよな、実にまずった。今思えば、あの時だったんだな。
あの時あいつに付き合ってたらどんな風になったかは、それは分からない。
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