(六)

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「ねえねえ、誰だか、分かる? 「何だ? 馬鹿にしてるのか、お前は。emiko だろうが、このバカタレえ! 「そっかあ、やっぱ、分かっちゃうか。 「なに、声を作ってるんだよ。甘ったれた声なんか、出しやがって。 「へへへ、元気してた? 「元気してた、じゃねえだろうが。音信不通なんかになりやがってえ! 今、どこに居んだよ。 「そうだね、もう二年以上経つんだね。nagoya でね、病院勤務してるの。 「ビョー、インだあ? ビョーインって、病院かよ。 「そう! ナースのお仕事! 「あっそう。 「ねえねえ、逢いたいんだけどさ。ヒマしてるでしょ? GWの連休。 「馬鹿言うなよな、まったく。デート、デートで、連日埋まってる。 「ウソだあ! ぜったい、ヒマしてるう! でないと、あたしが困るモン。 「なんだ、そりゃ。お前が困るって、そんなもん、俺には、カンケーねえぞ。 「そう言うかなあ。言い付けるぞ、おじさんに。おじさんは、あたしの味方だかんね。 「分かったよ、分かったよ。
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