(二)

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あいつとの腐れ縁は、たしか体育館だったよな。 友人の部活動が終わるのを待っていた時に、[テーマは、愛]を書き上げた。 変なタイトルだけど、面白いんじゃないかって自分では感じてた。 ゴーストの男に恋する女性の話だ。 恋人がゴーストになったのではなく、あくまでゴーストの男に恋してる。 観念的に描いたのだから、構わないんだ。 「ありえな~い!」って言われそうだけど、いいんだ、いいんだ、これで。 初めは車椅子の男に設定していたけど、陳腐なような気がしてやめた。 TVドラマでやってそうだったし。 俺の頭の中にある、「愛」を描きたかったんだから。 まだ漠然としたものだけど、世間様の「愛」とはひと味違うんだから。 だけど、おじさんに言われちゃった。 「日記なら、それでいいだろう。だけど、詩として考えてるなら、一考すべきだな。 ゴーストたる彼を、どうして好きになったのかな?  好きな彼がゴーストになってしまったというのなら、理解できる。 でも、それじゃお前の思い描く「愛」にならないんだろ?  誰にも見せるつもりなんてない! って、言いたそうだな。 けどな、これから十年二十年と経っていくんだ。 その時にこの詩を見つけて読んだとしよう。 きっと、ぼくの言ってる意味がわかる。 だけれども、まさしくあれだな。 ━ 恋に恋する年頃 ━そのものだな。 今この時は、現在しかないからね」
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