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私服で中学校の門の前に立つと、変な感じがした。
視界に映る人はみんな、学校指定の体操服やジャージだ。グラウンドでは部活の片付けに入ったところだった。
いきなり、後ろから声をかけられた。
「蒼? 何で?」
男子の声だ。声変わりが始まったばかりのかすれがちな声。
振り返ると、そこに立っていたのは、思ったとおり、雅(まさ)樹(き)だ。部活の練習の一環で、校外を走ってきたらしい。
「何でって、ここにいて悪い?」
「いや、そうじゃないけど。どうしたんだ?」
雅樹は同い年で、陸上部で、わたしよりも十センチくらい背が低い。小麦色に日焼けしている。目がパッチリとした顔立ちは華があって、アイドル系といってもいいくらい。物おじしない性格で、女子からも男子からも先生方からも人気がある。
実は、雅樹とはずいぶん昔から縁がある。わたしと雅樹は同じ保育園だった。二人とも親が共働きだったからお迎えが遅くて、ほかに誰もいなくなった園舎で、お利口さんにして先生の手をわずらわせずに、おとなしく遊んでいたらしい。
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