一 中学二年生:転校と不登校

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一 中学二年生:転校と不登校

 学校が好きか嫌いかなんて、考えたこともなかった。考える必要がなかったんだ。それまで、わたしはごく普通に学校に通うことができていたのだから。  夜に眠れなくなったのが先か、朝に起きられなくなったのが先か。  気が付いたら、起き上がれないほどの重苦しい頭痛の朝が続いていた。毎朝、体が冷えて、指先が動かなかった。  四月下旬だ。春の遠足の日は汗ばむ陽気だったし、それから毎日どんどん暖かくなってきている。そもそも、引っ越してきたばかりの琴(こと)野(の)町(ちょう)は一年を通して暖かく、冬場だって氷点下になる日がなくて、雪もめったに降らない。  それなのに、わたしは毎朝、凍えながら布団にくるまって、浅い夢の中でうなされている。起こしに来る母が心配するくらい、本当に毎朝。  うなされているのは、頭が痛くてたまらないせいだ。無理やり起きて朝ごはんを胃に押し込んだら、急に胃がキリキリと痛んで耐えられなくて、吐いてしまった。  その日は学校を休んだ。昼間は食事もせずに、死んだように寝ていた。おかげで、夜は眠れなかった。翌朝はまた頭痛と吐き気で学校を休んだ。  おかしい。何かのバランスが壊れている。     
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