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薬局屋
近頃、全然眠れずに困っていた。
元々人手不足で多忙だというのに、一身上の都合や結婚で退職者が続き、激務に拍車がかかっていた。
家に帰りベッドで横になっても、何故か体は疲れているというのに、脳が覚醒して眠ることができず、ゴロゴロと体制を変えているうちに外が明るくなってしまうのが日課だった。
気がつけば、メイクでは隠しきれないほどの隈が目の下に出来ていた。
会社の同僚からも、ひどい顔をしていると言われてしまった。
何とかしなければ。
同僚に不眠症だと相談すると、温かいものを寝る前に飲むといいと言われたが、すでにそれは実行済みだった。
次に、睡眠薬はどうかと言われたが、私には抵抗があった。
最後に、漢方薬はどう?と提案された。
薬だけれど、自然の生った薬草を煎じて飲む漢方薬なら、体にも安心かもしれない。
そう思い、近場で漢方薬を処方してくれる薬局屋を探した。
すると、近所にある商店街の薬局屋で、漢方薬を処方してくれることがわかり、会社の帰りに寄ってみることにした。
とはいえ、その日も仕事がなかなか終わらず、会社を出た時にはすでに九時を超え、駅を降りた時には十時近かった。
営業時間なんてとっくに終わっているだろうと思いながら、私は商店街に向かった。
その商店街は、駅から私が住むマンションの反対側にある。
だから、引っ越した当時は行ってみようかと思っていたけど、仕事が忙しくなって一度も行くことがなく今に至っている。
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