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チヨさんは舞子ちゃんの事をとても可愛がっていて、
「成人式の晴れ着姿を見るまで死ねないわ」と張り切っていた。
「あなたの時も、とても素敵だったわね」
チヨさんのその言葉に、私は照れた。
私はチヨさんから代金をもらい、饅頭を二つ手渡した。
「ありがとうございました」
そう言って頭を下げると、チヨさんは「またね」と微笑んで、舞子ちゃんとお地蔵様の方へ歩いて行った。
その様子を、私はしばし見ていた。
おばあさんはお地蔵様の前で腰を下ろすと、饅頭を置いて手を合わせた。
隣にいる舞子ちゃんも、チヨさんを見よう見まねで手を合わせているようだった。
チヨさんは舞子ちゃんの頭を撫でると、もう一つの饅頭を舞子ちゃんにあげた。
舞子ちゃんは饅頭を一口食べると、満面の笑みを浮かべていた。
私も嬉しくて、つい顔がほころんだ。
そして、チヨさんと舞子ちゃんが手をつないで歩いていく後ろ姿を見送った。
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