和菓子屋

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けれど、一人ひとつを食べるわけではなく、一つは商店街に昔からあるお地蔵様にお供えをして、もう一つを二人で半分こして食べているようだった。 そんな二人はとても仲が良くて優しかった。 小さな頃、私がまだお店を手伝えず一人で遊んでいると、チヨさんが近くの公園に連れていってくれて一緒に遊んでくれた。 そして、おじいさんは喫茶店で、時々ケーキをご馳走してくれた。 父が作る饅頭も美味しいけれど、おじいさんにご馳走してもらったケーキは格別だった。 おじいさんは随分前に亡くなってしまったけれど、私が店に立つようになってからは、チヨさんは孫の舞子ちゃんと一緒に、週に一度は饅頭を買いに来てくれた。 やっぱりその時も饅頭は二つ。 一つはお地蔵様に、一つは舞子ちゃんと半分こ。 ある時、チヨさんに聞いたことがあった。 どうして来るたびに、お地蔵様にお供えするのかと。 すると、チヨさんは商店街に佇むお地蔵さんの由来を教えてくれた。
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