和菓子屋

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和菓子屋

私の家は、商店街に古くから店を構える和菓子屋。 両親は毎日早朝に店に来て、まず餡作りの豆洗いから始まる。 私も手伝ったことがあるけれど、真冬は手が凍えて水洗いだけでも地獄だった。 餡は代々続くレシピをもとに、父が日々研究をしながら進化していったもの。 濃厚だけれど甘すぎず飽きのこない味で、こしあんは口当たりがとても繊細だと評判だった。 店にはそんな餡を使った和菓子を中心に、お団子、まんじゅう、羊羹、お餅、おはぎが並んでいる。 特に黒糖を使った蒸し饅頭が人気で、夕方までにはなくなってしまうほどだ。 わたしもよく店の接客を手伝うのだけれど、ほとんどが常連さんばかりだった。 何度も接客するうちに、その常連さんが何を買うかもわかるようになった。 中でもチヨさんというおばあちゃんは、私が生まれる前からの常連さん。 先代の饅頭も、父の饅頭も、とても美味しいと言ってくれている。 ご夫婦ともに甘党で、商店街にやってきては饅頭をいつも二つ買っていく。
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