仕向けた刃先

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うっすらと意識が戻って行くように、静かに目が覚めた。 ベットには自分だけの体温が残り、部屋は肌寒い温度を保っていた。 夢も見ず、ぐっすりと寝てしまっていたようだ。 私は布団から起き上がった。少し身体が痛い…気がする。 服はワイシャツ一枚。下着もつけていなかった。 「なにが…あったんだっけ…」 外を見ると夕日が差していた。 晴れた夕空は、部屋の中からみてもカラッと乾燥した空気で冷気を帯びているのがわかる。 脱ぎ捨ててある下着をつけ、部屋を出た。 誰の家か知らないが、一人で暮らすのには十分な大きさのリビングキッチンと、私の寝ていた部屋、もう一つドアのしまっている部屋があった。 ドアのしまっている部屋を開けた。 「うわっ」 目の前には三つほど顔だけのマネキンが置いてあった。まさかそんなもの置いてると思わず、ビックリして少しだけ言葉が出てしまった。 マネキンにはウィッグがかぶせてあった。 部屋は整頓されていて、キャスターのついてるワゴンの上には、ハサミやスプレー、髪の毛を止めるピンなどがしっかり分けられていた。 家主はどうやら美容師、なのだろうか。 マネキンの先にはトルソーが置いてあり、着物を着せてあった。そこまで高い着物ではないと思うが、そばに帯も置いてある。 「……」
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