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「あっ、告別式!!!」
昨晩のことを思い出した。
昨晩のことだけではなく、それまでにあったことすべて。
私はねていた部屋に戻り、カバンからスマホを取り出した。
ホーム画面には、着信履歴とチャットが来ていた。
私の母親、永子さん、そして、
二葉郁也からの着信とチャット。
(告別式は終わった、真也はちゃんと見送ったから)
その場に座り込んだ。
大好きな恋人の告別式、永遠のお別れを寝過ごした。
こんな奴、世界中探してもいないだろう。
ワイシャツ一枚で寒かったはずなのに、この時ばかりは絶望で五感すべてが機能していなかった。
しばらくそのままで動けなかった。
なにも考えることができなかった。
日はとうに暮れた。誰もいない部屋で電気もつけず、薄暗い部屋の中にいた。
これからどうしよう。
そんなの前からずっと思っている。
けどこれしか出てこない。
私にこれからなんてあるのだろうか。
もう大学には行けない、真也を思い出すから。
なにをしても真也を思い出すか。
「あはは。私には真也しかなかったのか」
明日はデートの日だったはずなのに。
なんにもすることなくなった。
デートしてくれる人、いなくなっちゃったもん。
いなくなっちゃった…?
「……」
嫌なことを考えた。
それこそ、真也が絶対に許さないことだ。
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