仕向けた刃先

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部屋に沈黙が続いた。 何も、何も言えなかった。 郁也くんは目の前でボロボロと泣いていた。 私もボロボロと泣いていた。 床に涙の落ちる音がポタポタと響いている。 「お前より15年も長くいるんだよ…母さんの腹の中にいた時からずっと一緒だったんだよ……お前だけの真也じゃねぇ…俺にとっても、真也が……」 震える声で話していた。 既に肩を持つ郁也くんの手の力は抜け、目の前に座り込んでしまった。 私だけが辛いんじゃない。 彼も、永子さんも、渉さんも。 真也は私だけの唯一ではないのだ。 「ごめんなさい…」 謝罪の言葉しか出なかった。 座り込んでしまった郁也くんを強く抱きしめた。 私よりも身体は大きいのに、抱きしめると子供のように小さいように思えた。 二人して泣いていた。 何度泣けばいいんだろう。 何度後悔すればいいんだろう。 大切な人を亡くすということに対しての向き合い方は、とても難しい。 こうやって傷を舐め合って生きていくしかないのか。
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