仕向けた刃先

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ひとしきり悲しみにくれ、涙を流しきると。 私は郁也くんスウェットを貸してもらい、ついでに温かい紅茶も淹れてくれた。 さっきまで着ていたのは郁也くんのワイシャツだったようで、血がついてしまった為新品を買ってくると約束をした。 二人でリビングのテーブルに座り、無言の時間が続いた。 郁也くんは喪服姿のままだった。 告別式から帰ってきた矢先、私が命を絶とうとしていたのであろう。 本当に最低だ私は。勝手に人の家で自殺を図るなんてどうかしている。 自殺の件だけではない。 昨晩の出来事だって、夢か現実か区別つかなくない頭のおかしい私の面倒をみてくれたのは郁也くんだ。 「あの…ありがとう…と、ごめんなさい。迷惑かけて」 私がいけない。 いくら取り乱してたとはいえ、相手にかける迷惑が大きすぎる。 頼りない声で、掠れた声で、そう告げた。 「まぁ…俺も怒鳴ったし……」 郁也くんは、私と顔を合わせずコーヒーを飲みながらそう答えた。 昨日今日の私は、私ではないかのように気がおかしくなっていた。 事の整理をすべく、何があったのか自分の覚えていること照らし合わせるのも兼ねて郁也くんに問いかけた。 「昨晩と今日…というかお通夜あたりからの記憶が曖昧で。よかったら教えてくれないかな?」 すると郁也くんは少し気まずい表情を浮かべた。 そしてコーヒーを飲みきると立ち上がり、キッチンに向かった。 「いいよ。だけど、俺風呂入りたいからちょっとまってて。」
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