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「二人同時に出ないわけにはいかないと思って、石見を置いて俺だけ告別式に行った。石見、すごく疲れてたみたいだったし尚更。今も目の隈ひどいし顔もゲッソリしてる。」
ここ一週間、食べ物が喉を通らなかった。
真也が亡くなってから普通にアルバイトはしていたものの睡眠時間だっていつもよりは短くなっていたし、それに加え精神も安定していない。
そうなるのは必然的だ。
「で、告別式から帰ったらハサミ握り締めてるし…まさかあの部屋に入って自殺を考えるとは思ってもなかったわ」
彼は本当に焦ったと本音を口にした。
話はそこで終わった。経緯を聞いた私は、またも彼に謝罪の言葉を述べた。
簡単にまとめると、通夜で倒れて寝ていた女を家に連れて行き、女は頭おかしくなってて一夜を過ごし、帰宅すればその女は自殺を図っている。
そんなこと一生でもう経験しないであろう。
「まぁそのなんだ…辛いのはわかるし、俺にはわからないこともある。だから、その…俺のこと頼るのは全然平気だから。」
彼は少し照れながら私に言った。
どこか素直じゃないのは、真也にはない郁也くんの個性なんだなと私は思った。
真也だけじゃない、郁也くんにも会えて私は本当に人生救われたなと感じた。
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