幸せの頂点

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「真也くんがね…事故に遭ったって…」 ………… 冗談には聞こえなかった。 涙を浮かばせ、震える手で、震える声で、 息遣いも荒かった。おそらく連絡をもらった瞬間に、私に伝えようと思って走ってきたのであろう。 冗談には聞こえない。 でも私の頭の中は、冗談で片付けられてしまっている。 「……は、はぁ」 どんな風に返事したのかは母親が知ってる。 骨の抜けたような、魂の抜けたような声をしていた。 「緒花を送った後に、信号無視、した車が突っ込んできた…みたいで。容態は……」 私より母親が心配だった。 未だこの状況を受け入れ切れてない私は、まずは混乱している母親を落ち着かせるのが最優先だと思った。 涙をポロポロと流しながら、私に縋りついて彼の母親からきた電話の内容を伝えてくれた。 「わかった、わかったよお母さん。とりあえず落ち着こう?私はいまから病院に行く。お母さんは一緒に行けなかったら、家で待ってて。」 すぐにベットから起き上がり、パジャマを着たまままだがクローゼットから適当にコートを抜き出すとそれを着て、財布とスマホだけを持った。 母親も涙を拭いながら、私についていくと伝え一緒に家を出た。すぐにタクシーを拾って、彼の搬送された病院を目指した。 隣で母は手を合わせて嗚咽をこらえながら、彼の無事を祈っていた。 運転手さんも察したのか、少しスピードを上げて重苦しい空気にも関わらず私達を病院に送り届けてくれている。 実感のない私は、無責任なことに泣きもせず、無事を祈っていたよりか、さっきの夢のことを思い出した。 こっちが夢じゃないのか? さっきの景色が現実じゃなくて? 彼が事故に遭うなんて思ってもみなかったことだ。 もし死んだら?もし意識が戻らなかったら? そんなこと考えることもできず。
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