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まだ諦めてなかった安江を連れコンビニの中に入ればバレンタインの装飾が店内を彩っていた。
男子校の敷地内でバレンタインイベントとは外の人間がみたら首を傾げそうだ。
「ぼくトイレいってくるー」
パタパタと奥に消えていった安江を視線で見送り、俺は今日の夜食となるカップ麺を選ぶ。今日の持ち帰り仕事のお供だ。
それを手にレジに向かえばレジの横にあるソレが目にはいった。
「おまたせー」
またパタパタと走りながら戻ってくる安江。
そのまま勢いよく俺の腰に抱きつくものだから買ったものを落としそうになる。
「なに買ったのお?」
「これ」
「肉まん?」
「ほら、安江の分。甘いものはたくさん貰ってるから俺からのバレンタインはこれで」
バレンタインというのは後付けで本当は自分が食べたかっただけなのだが、それはあえて黙っておく。
安江は熱々の肉まんを受けとると、少女のように可愛らしい笑顔を溢した。
「よーちゃん、ありがとう!」
何だか気恥ずかしくなり、俺は「どういたしまして」と返すと肉まんにかぶりついた。
さすが高いだけあり肉まんは普通のより美味しく感じた。
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