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「貰ったチョコ全部食い終わるまで俺のチョコ食うなよ」
「は?なんで!!」
「食いもん粗末にするやつ嫌いだから」
「うっ………」
俺の肩に顔を埋め唸る江西が犬のようで愛らしいが、ここは譲らない。
悪いことは悪いと教えるのもペットのしつけだ。
失礼な思考回路を巡らせていれば、江西は決断したようにばっと顔をあげた。
「分かったよ、今年は全部くう」
「ん、えらいな……ッ」
江西の髪を撫でようと思わず伸びた手は江西の手に捕まり無理やり体を反転させられた。
結構キツイ体制だが、それ以上に江西の整った顔が至近距離にある事に意識がむく。
わ、キスされる。
思うと同時に荒々しく唇が押し付けられた。
「んっ……ン」
「チョコは我慢するから、当日は陽介自身を食わせてよ」
「ふはっ、少女漫画で使ってそうな台詞だな」
「俺が言うと様になんだろ?」
「そうだな、けど食うのは俺だろ?」
「ふっ、陽介下品すぎ」
「嫌いじゃないだ……んぅ」
会話の途中に交わすキスはチョコより甘く、脳みそを蕩けさせる。
お互いの服を脱がせ、目が合えば笑いあい、重なる体に愛しさを感じる。恋人同士のバレンタインも悪くないと俺は江西の腕の中で蕩ける頭で思った。
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