短編 ストーリー いつもと変わらない1日

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早朝、澄み渡る空。雲ひとつない。 はぁ、と息を吐く。春目前と言えど、まだまだ息は白く寒い。いつもの光景、いつもの街、木々、人。 いつもの交差点。せわしなく車が行き交う。 赤、青、黄色と信号もいつもと変わらずお仕事ご苦労さんです。 いつもの交差点。僕はいつもと変わらずここで待ち合わせをしている。 「そろそろだな。」 僕はそろそろの"何か"の方向を見る。 「おはよう!」 「ああ。」 僕はいつも親友のこいつと毎朝待ち合わせをして学校へ行っている。 ゲームの話だとか、アニメ、漫画の話。毎朝会ってるのに尽きない会話。 そう。僕達は地味だ・・・。 クラスでも数人しか仲の良い友達はいない。 いわゆるウェーイ系ではない側の人だ。 もちろん僕の隣で昨日見たアニメについて熱弁しているコイツもだ。 いつもの朝。 だけど、今日はなんだかいつもと空気が違う。 男子と女子がざわついてるな。 そうか。今日は義理本命感謝祭(バレンタインデー)か。まぁ僕とこいつにとっては階段を2段で駆け上がるような、なんとも思わないものだ。 学校は着く、案の定男子と女子のざわつきはかなり賑わってきた。 下駄箱を開け、室内履きに履き替え一番賑わっているであろう場所へ赴く。 「すげーっ!お前何個あるんだよ!」 「へへ。記録更新だぜ。」 「はい。これ。か、勘違いしないでよね!ついでだから、ついで!」 「お、おう。」 「どうすんの、早く渡しちゃいなよ!」 「うん・・でもぉ・・。」 おお。賑わってる賑わってる。 飛び交ってる言葉をかいくぐり自分の席に座る。 隣に座ったコイツはまだ熱弁が止まらない。 ブレないなコイツ。 いつもの学校。いつもの授業。 お昼休み。お母さんが作った弁当を食う。 うちは母子家庭でお母さんは毎朝早く起きて僕の弁当を作り、僕を送り出し、家事をやって仕事に行く。そして僕よりも帰ってくるのが遅い。 深夜になる事もある。 箸につまんだ卵焼きを眺めながらそんなことを考える。 「うまい。」 自分の母はしっかりしてんな。 いつもと変わらず仕事にいき、いつもと変わらず優しい。
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