短編 ストーリー いつもと変わらない1日

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いつもの学校。いつもの授業。 下校のチャイムが鳴る。 朝はあんなに賑わっていた"祭"も落ち着きを取り戻しつつある。 ようやく僕のいつもの"いつも"が戻ってきた。 親友と今日も一緒に帰るため下駄箱を開ける。 「ん?」 僕の下駄箱に何か入ってる。 薄い平べったい箱だ。まるで、そう板チョコが入りそうなくらいの小さな平べったい箱。 手にとってみてみる。 「なんだこれ?」 視線が刺さり隣を見る。 親友が絶望と悲しみと裏切りにあったみたいな驚きを隠せない表情でこっちを見て絶句していた。 どんな顔だよそれ・・・。 「お前・・お、おお、お前そそそそれ・・!」 そう、これは・・・ 「これはチョコだ。すまんな抜け駆けして!」 「入れる場所間違えたのかな?」 →「これは、罠だ。」 ピッと脳内に出てきた選択肢に決定ボタンを押す。 そう、これは罠だ。 間違いなく罠だ。僕がチョコを貰えてテンション高ぶった瞬間数人のウェーイ系が押し寄せ僕にドッキリという名の絶望を与えるに違いない。 いやそれとも目の前にいるコイツ・・・ いやそれはないな。コイツ絶望と怒りと悲しみと混乱で泣いてやがる。 演技でここまで出来るわけがない。 落ち着け。俺。 ま、まずは本当に間違いかもしれないからよく確認してみようじゃないか。 その箱には紙が挟まっていて手紙的なものかな? と思い、それに手を伸ばす。 「お願いだよぉ、お前だけは親友だと思っていたのにぃぃぃ!俺を置いて遠くへ行かないでくれぇぇぇ!」 ・・・ ・・・ コイツはほっとこう。 差し出し相手を間違っていた場合、不本意ながら内容を確認してこれを戻さないと。 だって、女の子が本来渡すであろう相手に渡らない事が最悪のバッドエンディングじゃないか? いわばこれは人助けだ。俺が本来あるべき場所へ届けてあげよう。 ピラ・・・なになに。
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