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見返り美人
通勤途中、電車の中で見掛けた素敵な女性。
高身長でモデルのような細身のスタイル。
背中まである長いストレートのロングヘア。
キラキラのラインストーンを施したネイル。
マーメイド型のスカートにフリルのブラウス姿は華美過ぎず、上品さが滲み出ている。
電車を降りると。
彼女は颯爽と歩き始めた。
こちらから見えるのは。
後ろ姿のみ。
顔は見えない。
でも。
きっと素敵な人に違いない。
あの人に声を掛けねば!
だが、見知らぬ人間に急に声を掛けられたら……気味悪がられるだろうか。
いや、でもしかし……。
他の人に声を掛けられる前に声を掛けないと。
……不審者扱いされたらどうしよう。
でも、このままでは……。
「あのっ……すみません!」
思い切って声を掛ける。
「……はい?」
想像通りの美人に少し躊躇ったが、僕は彼女の耳元で声を潜めて伝えた。
「服の裾からタグが出てますよ」
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