13階の怪

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13階の怪

 第二子出産で、義母に家事手伝いに来てもらった時。  保育園へ上の子のお迎えをお願いした十数分後--。  義母より一本の電話が入った。 「沙織さん、今、家にいる?」 「……いますよ?」 「鍵が開かないんだけど、開けてくれる?」  義母には確かに合鍵を渡したはずだ。  不思議に思いながら、玄関のドアを開ける。  だが。  そこに義母の姿も、子供の姿もなかった。 「……お義母さん、どこにいるんですか?」 「えっ? 今、玄関の前にいるわよ。それより早くドアを開けてちょうだい」  玄関の扉はすでに開いているのだが。 ……誰もいない。  向かいのマンションの、同じ造りの玄関ドアが立ち並ぶのが見えるのみ。 「……えぇと、ドア開けているんですけど……」 「沙織さん、何を言っているの? 変な冗談はやめてちょうだい。」  すると、どこからか 「ばぁば、まだぁ?」  と上の子の声が聞こえた。  そこでピンと来た。 「お義母さん、柱の数字見てください。違う階にいるのではないかと……。うち、13階ですよ」
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