6人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
13階の怪
第二子出産で、義母に家事手伝いに来てもらった時。
保育園へ上の子のお迎えをお願いした十数分後--。
義母より一本の電話が入った。
「沙織さん、今、家にいる?」
「……いますよ?」
「鍵が開かないんだけど、開けてくれる?」
義母には確かに合鍵を渡したはずだ。
不思議に思いながら、玄関のドアを開ける。
だが。
そこに義母の姿も、子供の姿もなかった。
「……お義母さん、どこにいるんですか?」
「えっ? 今、玄関の前にいるわよ。それより早くドアを開けてちょうだい」
玄関の扉はすでに開いているのだが。
……誰もいない。
向かいのマンションの、同じ造りの玄関ドアが立ち並ぶのが見えるのみ。
「……えぇと、ドア開けているんですけど……」
「沙織さん、何を言っているの? 変な冗談はやめてちょうだい。」
すると、どこからか
「ばぁば、まだぁ?」
と上の子の声が聞こえた。
そこでピンと来た。
「お義母さん、柱の数字見てください。違う階にいるのではないかと……。うち、13階ですよ」
最初のコメントを投稿しよう!