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「わりぃわりぃ。ちょっと部活の顧問に次の練習の日にち表、もらって来た。」
そう言ってひらひらして見せたのは、確かに練習の日程が書かれた、カレンダーみたいな表。
「あの、ちょっといいだろ?大事なところは俺に言わせろよ。好きだ、バカ。」
「えっ、、、。」
あたしは絶句していた。まさか涼也がこんなことを言ってくるなんて、あたしは予想だにしていなかった。
「うん。どうすればいい?」
「付き合えよ。俺と付き合えよ。バッカだなー、お前、優しすぎだろ。いつも水菜や由佳とつるんでいる時もお前、変に気遣ったりするだろ?いちいち『ごめんねー。』とか『本当、ありがと。』みてぇなこと言ってること、あるじゃんか! 性格良すぎだろ。な、付き合えよ。」そう言ってあたしの頬を両手で包み込んできた。
やばい。どうしよう。胸の高鳴りに気付く。
そこまで言われると、さすがに照れてしまう。涼也は学校一のイケメンとしてもてはやされていることも多い。彼の周りは女子で一杯になり、キャーキャー言いながら、まるでアイドルに迫り来るファンのような集団がぞろぞろと立ち並ぶこともある。俳優の成果ともあって、ときにはサインを求めてくるコたちまでいる。じゃあ、付き合ってみようかな。彼はもてはやされる分、いろいろな女の子たちとの浮き名が出てくることも多々、あった。
それでもあたしは負けない。今までの女の子たちに負けないくらいのあたしでいてみせる。あたしは心に強く誓った。
いつかその誓いが夢絶たれるようになることも知らずに。
「うん!!はい!!」
あたしはたった2文程度の返事をした。
[マジ?マジで言ってんの、それ? 嘘じゃないんだな? やった、俺、ちょー嬉しい。」そう言って少し跳ね上がってみせると、「デートは明日からな。」そう言って消えた。
やったぁ。あたし、涼也の彼女?彼女になれるの?、明日から。
今晩は眠れそうにない、と思った。案の定、よく眠れなかった。
☆★☆
翌日。6月2日。授業終わりのチャイムが鳴る。
涼也はサッカー部だ。サッカー部もあたし達ミニバスと同じで火、水、金制の部活組だ。
男子は他にソフトボール部がある。ミニバス部にも、吹部にも、インターネット部にはいることも出来るし、家庭科部にだって入れるけど。
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