第1章

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星が、流れた。今までにみたことはなかったが、はっきりと見えた。キラキラと輝きながら、一瞬に輝き放つのを止めるようにして流れる星を、あたしの視界は捉えた。しっかり捉えた。捉えて離さなかった。一度視界に焼き付けたものを離さないようにしながら、あたしはそのまま、そっとドアノブに手をかけ、家に戻った。 ☆★☆  ピピッ、ピピッ、ピピッ、ピピーッ!!!  時計が朝の4時を伝えている。 「あっ、やばっ!!学校!!今日、部活、あるんだよなー!!朝練、の前に古書屋、古書屋!! あっ、待って!!願い事するの、忘れた!!流星に願い事するの、忘れた!!」 「なーに?流れ星?あんた最近、なんだか星を観るのに凝っているのねぇ~。」 そう言ったのは、お婆ちゃま。うちの家計はお父さんもお母さんもいなくて、だからあたしは一人っ子。両親は両親とも不慮の事故であたしが3才のときになくしてしまった。だから、今はお婆ちゃん子。そしてあたしは今、お婆ちゃまと一緒に日常生活を過ごしている。あたしが昨日見た流れ星は、1つだけ。 「そう。そうなの!!昨日が極大日だってネットで載っててピークだってわかって観てたのに全然見えなくて、、、それで家に戻って寝ようとしたら、流れ星が1個だけ、、、もうビックリしすぎて願い事も出来なかったよー、、、うー、、、。」そう言ってあたしはふくれっ面をして見せた。 「ふーん。そんなに面白いのかねぇ。星の観察!!お婆ちゃまは1度として見たことないよ、そんなもの。そんな珍しいもの。」 「お婆ちゃま!!今日、部活あるし、古書店に借りた本返しに行かなきゃだから、じゃあねー!!!」 そう言うと、まだ何か言いたそうにしているお婆ちゃまを無視して家を出た。 「こら、待ちなさーい!!待ちなさい、瀬衣香。」 お婆ちゃまの声に脇目も振らず、あたしはさっさと歩き出していた。 ☆★☆ 放課後、、、授業4時間目終わりの直後にやってくるのは給食Time。 食事の時間だなーと思って机の上にナプキンを広げてお箸セットを出そうとして、ランドセルの中を覗いたら、、、「ない!あたしのお箸セットがないよー、、、どうしようだよー、、、」 「どうしたの、瀬衣香。お箸セット、ないなら貸してあげよっか?あたし、今日、フォークとスプーンで食べるからっ!!」  「本当にぃー?もう感謝感激ですー。」 「泣かなくてもいいから。ね、瀬衣香。」
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