第1章

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 その次の週の第2土曜日。5月15日。  あたしは今日も土曜の午後12時までの部活を終えると、その足で古書店へと向かった。    「今日は司書さんは来られないんですか?」 中で洗い物をしていた颯野さんに早速、問いかけてみる。  「あぁ、司書ね。うちの美森でしょう?」 颯野さんの返事が返って来る。  「美森さんとおっしゃるんですか?あなたのお母さんかつ、司書さんは。」  「はい。颯野美森(そよの・みもり)。えぇ。 うちの母だと思います、たぶん。」  「うちの母、最近、家事が忙しいみたいで、、、」 「あ、そうなんですね。」  「今日は何かお借りする本はありますか?」 「あぁ、そうですねー。では、この2冊を!!」  あたしはそばのオススメ本コーナーに置いてあった2冊の本を手にした。1つは「家庭料理の美学」という名の料理本で、もう1つは「流星観察記part.2」と書かれた星の観察本だ。「お料理にご興味が?」 「そうですねー、あたしなんかはまだまだなんですけど、料理のレシピを家で研究しながら作っていくのが楽しくて。」  「そうですか。星にもご興味が?」 「はい。流星観測が楽しくて。いつも外に出たり、ベランダに出てはよく見ているんです。」  「そうですか。じゃあ、あのー、とても厚かましいのかもしれませんが、今度、一緒に見に行きませんか?流星。おすすめの穴場があるんです。」 「あ、、、はい。行きますか。」 「本当ですか?やったあ。ありがとうございます。うれしいなぁ、瀬川さんと2人で流星、見に行けるの。」  「そうですか?こちらこそ、ありがとうございます。そうだ!!今年の夏祭り、一緒に行きません?花火が見たいです、一緒に。」 「はい!!!いいですね、行きましょう!!!」    「あ、それでこれ、借りていきます。」 「はい。毎度、ありがとうございます。 うちの美森も喜んでいます。あなたに、週2くらいで借りに来て頂いているんだそうで、、、。」  「そうなんです。いつも楽しく読ませてもらっています。ありがとうございます。ぜひ、美森さんにもありがとうございますとお伝え 下さい。」  「はい。」  「じゃあ、今日のところはこれで。」 「はい。」
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