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「そうか。そこまで賢人を慕っているか……」
「だって、賢人はさ」
アタシの目から涙がこぼれる。
「ママと約束したから、アタシの面倒をみているけど、本当は、こんな子どもは面倒って思っているんだよ?」
「笑止千万。賢人には命をつなげてやった。それ以上は分不相応だ」
「だから、そんな雪女流の考え方は人には通用しないんだよ。賢人はさ、善意で、アタシのことを」
アタシが悩んでいるのがわかったのか、ママはこういった。
「わかった、そこまでいうのなら、光輝酒を採る術を伝授しよう。だが、それを口にしたら、あやつは人ではなくなるぞ。それでもよいのか」
「は!」
アタシは肝心なことを忘れていた。
光輝酒を口にすれば、確かに老化は防げるが、何かを代わりに差し出すしかないのだ。つまり、異世界へ足を踏み入れることになる……
「小雪、賢人の人生をおまえが小細工していいのか」
「ママ、でもアタシ賢人が好き。なるだけずっと一緒にいたいの。どうしたらいいの?」
「そうだねえ」ママは考えくれた。
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