12年後

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 この国にはもう聖なる山はわずかしかない。人間が開発してヌシはどんどん滅びてしまった、しかしわずかに残るところを知っているし、そこへいけば光輝酒を手に入れられるから、とママは心配して一緒についてきてくれた。  というより、アタシはママについて吹雪に紛れて飛んだ。 「小雪、パチシエは順調か?」  ママはこのごろ貫禄がでてきて、雪女のなかでもリーダー的存在になっているらしい。  ママの着物につかまりながら、必死に方向を調整して、アタシも飛びながら話す。 「そうだね。オーブン、つまりかまどを扱う仕事は、アタシには無理かもしれない。熱いのは我慢できるけど。熱を冷やしすぎちゃうから。ママ、やっぱりアタシ、こっちに戻るべきなのかな?」 「熱の調整か、それは小雪が子どもを産めば、力を加減できるようになるものだが」 「そうなの? なんかいいこと聞いたな」  ラッキーと思う。  でも、子どもをうむのは相手が必要だしなー とまたしょげてしまう。  いやいや、ドンマイ、小雪だ。  賢人、光輝酒は手に入ったよ!  明日のバレンタインデーには、これで、チョコをつくるからね!
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