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この国にはもう聖なる山はわずかしかない。人間が開発してヌシはどんどん滅びてしまった、しかしわずかに残るところを知っているし、そこへいけば光輝酒を手に入れられるから、とママは心配して一緒についてきてくれた。
というより、アタシはママについて吹雪に紛れて飛んだ。
「小雪、パチシエは順調か?」
ママはこのごろ貫禄がでてきて、雪女のなかでもリーダー的存在になっているらしい。
ママの着物につかまりながら、必死に方向を調整して、アタシも飛びながら話す。
「そうだね。オーブン、つまりかまどを扱う仕事は、アタシには無理かもしれない。熱いのは我慢できるけど。熱を冷やしすぎちゃうから。ママ、やっぱりアタシ、こっちに戻るべきなのかな?」
「熱の調整か、それは小雪が子どもを産めば、力を加減できるようになるものだが」
「そうなの? なんかいいこと聞いたな」
ラッキーと思う。
でも、子どもをうむのは相手が必要だしなー とまたしょげてしまう。
いやいや、ドンマイ、小雪だ。
賢人、光輝酒は手に入ったよ!
明日のバレンタインデーには、これで、チョコをつくるからね!
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