12年後

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 ママの御殿の通り道の峠に戻ってくると、待避所に賢人の車がエンジンつけたまま止まっていた。 「え? なんで」  窓が空いて、賢人が顔を出す。 。 「遅いぞ! 何いつまでもやってるの?」と、怒りモードだ。  でも顔をみたとたん、もうだめだ。アタシの顔に笑みが浮かんでしまう。賢人を好きすぎる    態度はすごすご、心はうきうき、車に乗ると 「里奈ちゃんちにいく、なんて嘘をつかずに、ユキさんのとこへいくといえばいいじゃないか、小雪、心配したぞ」  と真剣な顔で賢人がいう。 「ごめんなさい。ママのところへいく、というとカネゴンは送ろうとするから。あ、結局来てくれたか」  峠は、賢人にとってあまり良い印象のない場所のはずだった。  だって死と直結する場所だから。  それにママのところへ行く理由も話さなくてはいけないし。でもやっぱり嘘をついたアタシは悪い。 「本当にごめんなさい」 アタシは泣いてしまった。  なんか、とことん賢人に迷惑をかえているな、と、思った。やっぱり子どもだな、とも 「でも、どうしてばれたの?」  ぐすぐすと鼻をティッシュで押さえる。 「LINEに気が付かなくて、モンブランに迎えにいったら、店に買い物にきていた里奈ちゃんに会ったんんだよ。里奈ちゃんも、小雪に会えなかった、と言っていたし。その後スマホをみて嘘に気づいたってわけさ」  雪は止みつつあった。その後走り出した車の中で、なんとなく無言で2人はフロントガラスだけ見ていた。
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