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ママの御殿の通り道の峠に戻ってくると、待避所に賢人の車がエンジンつけたまま止まっていた。
「え? なんで」
窓が空いて、賢人が顔を出す。
。
「遅いぞ! 何いつまでもやってるの?」と、怒りモードだ。
でも顔をみたとたん、もうだめだ。アタシの顔に笑みが浮かんでしまう。賢人を好きすぎる
態度はすごすご、心はうきうき、車に乗ると
「里奈ちゃんちにいく、なんて嘘をつかずに、ユキさんのとこへいくといえばいいじゃないか、小雪、心配したぞ」
と真剣な顔で賢人がいう。
「ごめんなさい。ママのところへいく、というとカネゴンは送ろうとするから。あ、結局来てくれたか」
峠は、賢人にとってあまり良い印象のない場所のはずだった。
だって死と直結する場所だから。
それにママのところへ行く理由も話さなくてはいけないし。でもやっぱり嘘をついたアタシは悪い。
「本当にごめんなさい」 アタシは泣いてしまった。
なんか、とことん賢人に迷惑をかえているな、と、思った。やっぱり子どもだな、とも
「でも、どうしてばれたの?」
ぐすぐすと鼻をティッシュで押さえる。
「LINEに気が付かなくて、モンブランに迎えにいったら、店に買い物にきていた里奈ちゃんに会ったんんだよ。里奈ちゃんも、小雪に会えなかった、と言っていたし。その後スマホをみて嘘に気づいたってわけさ」
雪は止みつつあった。その後走り出した車の中で、なんとなく無言で2人はフロントガラスだけ見ていた。
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