12年後

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 灯りが消えているおばあちゃんの家につくと  賢人は車を止めて、ダウンのポケットから何か取り出した。 「はい、これ、誕生日プレゼント」  ちょっと照れ笑いで差し出す。 「うそ」  アタシは忘れていた。  2月14日はたしかにアタシの誕生日だった。  すでに午前零時を過ぎていたのだ。 「えーどうしよう? ほんとうに?」  小さなピンク色の箱は白いリボンが結んであった。  アタシはするするってりぼんをほどいて、ぱかっとあけた。  雪の結晶のデザインのリングだった。  うそーーーーー  えーーーー  どうしよう? これってまさか?  いや、単に金属の輪っかだし?   特別な意味などないかもしれないかも、かもしれない。 「か、カネゴン、あのね、これって」  恐る恐る賢人の顔を見る。 「小雪ちゃん、今日で16歳だね、結婚しよう」  賢人はあっさりといって笑った。 「憲法では女性は16歳にならないと結婚できないからね」  どひゃー! 結婚!  そうだ、と思った。  もう、チョコでなくてもいいや、とアタシは思った。今だ、と。
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