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灯りが消えているおばあちゃんの家につくと
賢人は車を止めて、ダウンのポケットから何か取り出した。
「はい、これ、誕生日プレゼント」
ちょっと照れ笑いで差し出す。
「うそ」
アタシは忘れていた。
2月14日はたしかにアタシの誕生日だった。
すでに午前零時を過ぎていたのだ。
「えーどうしよう? ほんとうに?」
小さなピンク色の箱は白いリボンが結んであった。
アタシはするするってりぼんをほどいて、ぱかっとあけた。
雪の結晶のデザインのリングだった。
うそーーーーー
えーーーー
どうしよう? これってまさか?
いや、単に金属の輪っかだし?
特別な意味などないかもしれないかも、かもしれない。
「か、カネゴン、あのね、これって」
恐る恐る賢人の顔を見る。
「小雪ちゃん、今日で16歳だね、結婚しよう」
賢人はあっさりといって笑った。
「憲法では女性は16歳にならないと結婚できないからね」
どひゃー! 結婚!
そうだ、と思った。
もう、チョコでなくてもいいや、とアタシは思った。今だ、と。
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