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「好きです……付き合ってくださいっ」
僕の目の前で頬を赤らめる彼女。僕は静かに頷いた。
僕はクラスでいじめられていた。そんな僕を救い出してくれたのが彼女だった。僕は彼女に惹かれていったが、それは彼女も同じだったようだ。
「でも……どうして僕のことなんか…」
僕は不思議だった。彼女はしばらく考えたあと、わかんないや、と。
すきだから、と、言った。
僕達は並んで帰路を辿る。僕達は近所に住んでいて、小さい時から一緒に遊んだものだった。
僕がふと目をやったのは、道端にある空き地だった。
「懐かしいね」
彼女も僕と同じ方を向いて呟いた。
やがて分岐点にたどり着いた。僕は右に、彼女は左に進まなければ家につかない。
僕らは名残惜しかったが、繋いでいた手を離してそれぞれの道を歩き始めた。
僕は家に着いて、まだ彼女の温かさが残る左手を呆然と眺めていた。すると突然、家電がけたたましく鳴り響いた。
「はい」
僕が急いで出ると、相手はついさっき別れたばかりの彼女だった。
『たす…け………』
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