近所のお兄ちゃん

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僕のお父さんとお母さんは 夜遅くまで家に帰ってこない。 お仕事が忙しいんだって。 誰もいない家に一人でいるのは、すごく 寂しいから 帰宅したらすぐに僕は公園に向かう。 友達はその時間、いないけど あのお兄ちゃんが待っててくれるから。 「恭佑、こっちこっち。」 お兄ちゃんだ。 名前は佐倉智明(Sakura Tomoaki)っていうんだって。 お兄ちゃんと僕はほんとの兄弟じゃないけど、 すごく優しい。 「今日も遅いんだな、ご両親」 そうやって心配してくれる。 「でも、お兄ちゃんがいるから 僕は大丈夫だよ?」 にこり…と、笑って見せると お兄ちゃんも笑顔になる。 「さ、今日も遊ぶ?」 「うん!」 初めて会った時から 僕のことを気にかけていてくれたお兄ちゃんは、 今日も僕と一緒に遊んでくれるって。 これで僕は寂しくなくなるんだ。 一緒にいてくれる人がいるから。 お兄ちゃんは高校生なんだって、 お勉強とかしなくていいのかな? もしかしたらお友達と遊びたいのかな? そう思って、前に聞いたことがあったんだけど、「大丈夫!」としか言ってくれなかった。 高校生だから 大丈夫なのかな。
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