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一人の残った私は改めて魔王様を観察することにした。
しかし何て安らかな寝顔なのだろう…男性ながらとても美しい。
ザリュード様は純然たる悪魔族で齢は悠に一万年を超えている。
青白い肌と頭の両脇にある巨大な角を除けば人間とさほど変わらない顔だちをしている。
私は医療に関しては素人だ…呼吸と心臓は止まっているが、もしかしたら何らかの要因で仮死状態なのかもしれない。
一縷の望みにすがっていると二人が戻って来た。
「連れてきましたーーーー!!」
「…んっ」
二人が洗面器を両側から掴んで飛んで来る…中は色の液体が満たしていた。
そしてその洗面器をザリュード様の傍らに置く。
「何だね朝早くから…私はまだ寝ていたいのだがね…」
洗面器から中の液体が盛り上がった…この液体はある程度の粘性があり、グネグネと動いている…俗に言うスライムと言う奴だ。
やがてそれは楕円形に短い手足が生えた滑稽な体系の人型になり、白衣を着て眼鏡を掛けた。
ただ彼には目が無い…何故眼鏡を掛けているのかは謎だ。
「おはようございますドクター・テンパランス…早朝からお呼び立てして済みませんがザリュード様の様子が朝から変なのです…診てくださいませんか?」
「ほう…?」
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