人生を振り返れば...

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初江には身寄りがいなかった。結婚はしていたが、子供には恵まれなかった。夫には先立たれ、まもなくガンを患った。 検査や食事の度に看護師がやってきては、いつも決まってこんなことを口にしていた。 「私の人生は何一つ面白みの無い人生だった。何のために生きてきたのか分からない。こうしてガンと闘うために生まれてきたのかね。」 寂しそうに言う初江に担当する看護師は皆どのように反応すれば良いか困惑していた。
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