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雪がちらつく朝のことだ。
学校に向かう途中、駅前でクラスメイトである三ノ宮さんを見かけた。
片思いの相手である三ノ宮さんは、ファーストフードショップの前で、ホットドッグを頬張っているところだった。
美味しそうに食べる姿が、ものすごく可愛い。
学校では、なかなか話しかけることができないでいた。
2人きりで話す絶好のチャンスを逃す手はない。
ーーよし!
胸に手を置いて、一度深呼吸。
それから、緊張を悟られないようポケットに手を突っ込むと、声をかけた。
「さ、三ノ宮さん。おはよう」
すると、三ノ宮さんは髪をなびかせながら、くるりと俺のほうを振り返った。
「あっ、園田くん。おはよー。今日も寒いね」
髪をまとめている藍色のリボンを揺らし、ニッコリと笑いかける三ノ宮さん。
胸が熱くなるのを感じつつ、俺もほほえんだ。
「うん、寒いね。あ、えっと、三ノ宮さん、そのホットドッグは朝ごはん?」
「そうだよ。今話題の激辛スパイシーホットドッグ」
「激辛……スパイシー?」
「私、辛いの大好きなの。ほら、ここに激辛ソースがたっぷりかかってるでしょ?」
三ノ宮さんはホットドッグを俺のほうに近づけてくれた。
よくみると、ケチャップだと思っていたものは、激辛ソースだった。スパイシーなにおいも香ってきた。
これはかなり辛そうだ。
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