赤の他人

1/1
前へ
/1ページ
次へ

赤の他人

A「何食べてんの?おいしそーなんだけど!」 B「うっせーな。朝食食べそびれたんだよ!てか、お前は食べたのか?」 A「当たり前でしょ!あー、でもお腹空いたわ―。ちょっともらうね!」 B「あっ、おい!待てよ!」 A「べーっだ!返さないからね!ちょっと!何コレ。メッチャおいしいじゃん」 B「ウソ、食べたの?」 A「え?だめだった?」 B「決まってんだろ!……いいや。お前、全部食べろよ」 A「えーっ!ムリだよ、こんなに。返すよ、はい」 B「ムリ。おれ、こう見えて潔癖症だから。お前食べろよ!」 A「あ、間接キスってこと?ごめん、気づかなかった!でも、兄妹だからよくない?」 B「ムリムリムリ!兄妹でもムリだから!……てかお前だれ?」 A「えっ、ひどくない?あたし、お兄ちゃんの妹だよ!」 B「はぁ?おれ、一人っ子だから。妹いないから」 A「ウソっ!!お兄ちゃん、潔癖症じゃなくて健忘症なっちゃったんじゃない?」 B「いやいやいや。お前が精神異常になっただけだろ」 A「お兄ちゃん、ひどい!もういいよ!!」  Aが走り去っていくのを、Bが呼び止めた。 B「おい!最後に一つ教えてくれ!お前はだれなんだ!?」 A「あたし?えっとねー、わけあって身分は明かせないんだけど。お兄ちゃんとは赤の他人だよ」  Aは、兄妹だと偽って人を混乱させる、愉快犯だった。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加